第4回:女性の初婚年齢は、なぜ上昇する? 2002年8月29日(木)

「結婚」…それは、みなさん、特に女性にとってはあこがれの的ではないでしょうか。愛する人とともに日々を過ごす、それはそれは素敵なことですよね。もっとも、やまきは今のところ、結婚に興味は全くないのですが…。。そんなやまきのことはおいといて、今では「ヤンママ」やら「できちゃった結婚」などといって、20歳にもならないうちから結婚する女性も少なくないのですが、かつての女性は「結婚しない症候群」などという言葉もあったとおり、その初婚年齢は高くなっていたのです。この、「初婚年齢が上昇する」という現象を、パッと見た感じまったく関係ないと思われる経済的視点から分析してみましょう。

経済学では、「すべての主体は、各主体の効用・満足を最大限にするように行動する」という前提があります。敢えて自分にとって不効用をもたらす選択をせず、自らにとって効用をもたらす選択のみをするというわけです。つまり、結婚をするかしないかというのも、この「効用・不効用」の考え方をもって決定されると考えられます。女性にとって、結婚することの効用といえば、(やまきは女性ではないので、以下はあくまでも想像ですけど)愛する人と一緒に暮らすという心の安らぎとか、夫が主たる経済主体であるとすれば、結婚することによって経済的な安定を得ることもできるでしょう。他方、結婚することの不効用は、結婚をすることによって個人の自由な時間が奪われる点や、キャリアウーマンにとっては結婚することでその職を離れることになる可能性もあり、自分の好きな仕事ができなくなるなどといったものが考えられるでしょう。

さて、今ここで挙げた「結婚の不効用」は、「もし結婚していなければ享受できたであろう利益」を失うことに等しいので、結婚することの機会費用と言うことができます。(機会費用については、前回の知識の泉を参照♪)もし結婚しなければ、好きなときに好きな人と食事をしたり、旅行をしたりできるし、家事が嫌いな人にとっては家事に束縛されることもありません。こうした自由な生活は、所得が増加することで可能になります。所得が増加することで、需要が増加する財やサービスのことを、経済学では「上級財」といいます。(逆に、所得が増加すると需要が減少する財やサービスのことを、下級財といいます)つまり、自由な生活に対する需要は、所得が増えれば増加するという意味で上級財です。

他方、働く女性の実質賃金率は上昇しつつあり、男女雇用均等法の施行以来、女性が会社で長い期間にわたって働くことに対して、偏見がなくなりつつあります。かくて、一方では結婚によって失う利益(すなわち、自由な生活や仕事のおもしろさ)は増大し、他方では自由という上級財に対する需要が増加した結果、女性の初婚年齢は上昇したのです。

以上の議論を応用すれば、出生率の低下についても説明できますね。繰り返しになるので、出生率の低下についてはここでは触れませんが…経済学的視点から見た結婚論、いかがでしたか?今回はかなり短くまとまったな…次回もこんなカンジに簡単にまとめられるよう、がんばろうと思います。。

※実質賃金率…名目賃金率を、物価水準で割ったもの。じゃぁ、名目賃金率って何なのさっ!?って?そりゃあんた、実質賃金率に物価水準をかけたものだよ…死。。(冗談抜きで、名目賃金率とは、ある期間あたりの賃金を、そのときどきの貨幣で計った値をいいます。月20万とかね…要するに、普段みなさんが気にする、お給料のレートを指すのです)

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