第8回:バブルって何? 2002年10月27日(日)

みなさん、「バブル」ってご存知ですか?「バブル」という言葉だけなら、きっとみなさんはご存知のことだと思います。1980年代後半から、1990年8月の湾岸戦争をまたいで1990年代初頭まで、日本もバブルを経験しました。まずバブルとは何か?ですが、直訳すれば「泡」ですよね。経済学においては、実体的な要因(これを「ファンダメンタルズ」といいます)から乖離して、資産価値が高騰する現象のことを指します。1986年から、湾岸戦争がはじまる1990年半ばにかけ、日本の株価は実に3倍まで膨れ上がりました。株価の上昇は、その資産効果から日本経済を大きく刺激し、まさにあぶく銭を握るような、異常なほどの繁栄ぶりを見せたのです。しかし、バブルとは実体を伴わないものなので、いずれ破裂する運命にあります。1990年8月に勃発した湾岸戦争がひとつのきっかけとなって、日本のバブルは崩壊し、株価は急激に下落したのです。

そもそも、バブルとはどうして発生するのでしょう?このことを考えるために、ひとつ簡単な例を挙げましょう。今、美人コンテストが実施されるとします。美人コンテストに投票するのはみなさんです。みなさんは、エントリーしているあまたの女性の中から、一人を選んでその人に投票するわけです。一番多くの票を集めた女性がコンテストに優勝します。ここで、優勝した女性に投票した投票者には、賞金が出るとしましょう。この時、みなさんはどんな女性に投票しますか?コンテストの優勝者に投票した人にも賞金が出るという条件があれば、はたして投票者(すなわち、みなさん)は本当に、自分が美人だと思っている女性に対して投票するでしょうか?むしろ、一番票を集めそうな女性を予想して、その人に投票しようとするでしょう。なぜなら、そうすることで自分が賞金をもらえる確率が高くなるからです。

株価の決定も、これに似ていると思われます。つまり、美人コンテスト自体を株価市場、美人コンテストにエントリーしている女性を株式の銘柄、投票者を投資家、賞金を株式から得られる利益と置き換えれば、ほぼ同じことが言えるわけです。このような美人コンテストでは、誰が本当の美人かにかかわらず、結果が出る可能性があります。つまり、投票者の思惑が一致した女性が優勝する可能性が高く、その人が本当に美人かどうかは実は怪しいわけです。このことを株式市場に置き換えれば、投資家の関心を最も多く集めた株式には買いが集中して、値が上がります。しかし、その関心は実体的な要因を伴う場合もあれば、そうでない場合もあります。後者の例が、バブルなのです。

以上のことは、特定の銘柄の株式にとどまらず、株式市場全体についても言うことができます。もし、ある投資家が株価の上昇を強く確信していれば、彼は株を買いつづけます。そして、他の投資家が同じように株価の上昇を確信しているならば、彼らは株を買いつづけるでしょう。なぜなら、もし現在の株価がファンダメンタルズから大きく乖離した水準にまで上昇していたとしても、投資家が更なる株価の上昇を信じていて株を買いつづけるなら、実際に株価は上昇していくからです。このように書くと、「いつまでも投資家が株価の上昇を信じつづけて株を買いつづければ、無限に株価は上昇していくんじゃないの?」というツッコミがきそうですが、実はそれはありえません…なぜかというのは、次回に説明することにしまして、今回の結論として、バブルというのは株価や地価がそのファンダメンタルズから大きく乖離して上昇しつづけ、株や土地を購入することでそのキャピタルゲイン(資産価格の上昇による資産価値の増大)が得られると、多くの人々が確信している状態が作り出す現象ということです。

次回は、バブルの崩壊について書いてみようと思います。バブルはいずれはじけるもの。それがどのように発生するのか、簡単にご説明します♪

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